ホンキイ・トンク
突然ですが自分はミュージシャンの平沢進さんが好きで曲を聴くことが多いです。
その平沢進さんが曲を担当し
「妄想代理人」「東京ゴッドファーザーズ」で有名な今敏さんが監督を務めた
「パプリカ」というアニメ映画があります。
その原作を書いたのが今回ご紹介する
「ホンキイ・トンク」
の著者でもある筒井康隆さんです。
「パプリカ」を読んだのはしばらく前なので今度読み返してみたいと思っています。
さて、「ホンキイ・トンク」とはいったい何のことなのでしょう
作品から引用すると
西部の町にはその頃、ピアノの調律師がいなかった。酒場で狂ったままのピアノが不安定な音階の曲を奏で、その曲に合わせ踊り子たちが踊り、荒くれ男たちが銅鑼声を張り上げて合唱することもあった。やがて調子はずれのピアノによるウェスタン・ソング初期の名作が次々と誕生した。西武の男たちはそれらの曲を調子はずれの声で歌った。彼らはそれをホンキイ・トンクと呼んだ。
つまり、調子はずれの調律・・・と、いう意味がこの作品の意図に沿った訳し方だと思います。
なぜならば主人公の築井はコンピュータの技師、ある意味調律師であるからです。
しかしながら築井は技師としては二流以下であると自認しています。
そんな築井が技師としてコンピュータを発注した南ヨーロッパの小国「バカジア」に派遣されるところから始まります。
そしてコンピュータを発注したのはなんと「バカジア」のプリンセス・ミオでした。
なぜ、プリンセス・ミオはコンピューターを発注したのか?
築井は二流技師でありながらなぜ「バカジア」に招かれたのか?
この二点が話の中で重要な点になってきます。
なお、この書籍の初版は1973年であり、コンピューターは今ほど身近なものではなく、操作するには専門性の高いものであったということでコンピューターには専門の技師が不可欠です。
この書籍は短編集なのですがその最後のお話が「ホンキイ・トンク」となっています。ほかにも失踪がテーマの「君発ちて後」、筒井康隆さんの作品の醍醐味である”狂気”を十二分に感じられる「断末魔酔狂地獄」など全8編となっております。
グロテスクな表現も多いですがそれも筒井康隆さんの作品の醍醐味としてとらえればより深みにはまっていくのではないでしょうか?
「ホンキイ・トンク」ぜひ読まれてはいかがでしょうか?