東海道戦争
皆さんはテレビはよくご覧になられますか?
テレビってすごいですよね。
どんなものであってもテレビが流行っているといえば流行ってしまうように感じます。
それが実際素晴らしいものであってもそれがあまりよくないものであってもです。
あくまで私見ですが
そんなテレビをはじめとするマスメディアの魔法を筒井康隆さんの得意とする”狂気”で表現した短編である「東海道戦争」が収録されているのが
「東海道戦争」
です。
今回マスメディアが流行させてしまうのはなんと戦争です。
東西日本が戦争を始めてしまった世界が描かれています。
主人公はいつの間にか始まってしまった戦争の原因がわからないまま巻き込まれていきます。
主人公の友人のアナウンサー山口曰く
「戦争を起こしたのも、それを楽しむのも大衆だ。マス・メディアは、戦争を大衆に楽しませるためにあるんだ。もっとも、この戦争が、報道あるいは再現メディアにつごうのいいように仕組まれ、準備され、そして発生したことも確かだがね」
「マスメディアは大衆を楽しませるためにあるんだ」
こうすれば普通の内容ですが
「マスメディアは戦争を大衆に楽しませるためにあるんだ」
こうすると一転狂気を感じさせる文になります。
ここに筒井康隆さんが得意とする”狂気”が表現されているわけです。
また扇動され、戦争に参加する民衆も描かれています。
英雄を志す民衆の行方は?
戦争を仕組んだマスメディアの誤算とは?
主人公は最後どうなるのか?
このあたりが短編を読むうえで重要な所になってきます。
ほかにもコンピューターの本質に新たな考え方で迫った「いじめないで」
大都会の忘れ去られた下水道を舞台にした「群猫」
など全9編が収録された作品となっています。
ぜひお読みになられてはいかがでしょうか?